笠井爾示と七菜乃が3年を掛けて紡いだフォトストーリー。
「写真家」と「モデル」は互いに女性を見つめるプロフェッショナルである。笠井は1990年代の半ばから私的な視線をポートレートやヌードにそそぎ、都市に生きる人々の姿を時に生々しく、時に情感深く描いてきた。『東京の恋人』『となりの川上さん』という近年の代表作では、とくにヌードと私性の交わりの先を模索している。
七菜乃は、裸身をひとつの衣装と考える“特殊モデル”であり、“女体愛好家”として自らや女性たちを撮影する写真家でもある。
『七菜乃と湖』では、笠井独特のプライベートなカメラアイと七菜乃の私性が強く結びついた。東京各所を中心に、台湾、山中湖周辺ほかでロケ。七菜乃の故郷の水辺や森、都心の超高層ホテル、ストリート。さまざまなシチュエーションを背景にして、撮る度に新たなエロスが生れた。その儚くも美しい蜜月はいまも続いている。(池谷修一)
出版社:株式会社リブロアルテ
判型:245×180㎜ 160ページ 上製本